整骨院・接骨院のインテリアとエクステリアのデザインについて
整骨院・接骨院を新しく開業する方に向けて、インテリア(内装)とエクステリア(外装)デザインの重要性を説明しています。施設の内外装のデザインは、患者さんの心理に影響を及ぼすため、軽視しないようにしましょう。
整骨院・接骨院は患者さんを呼び込まなければビジネスにならない
整骨院・接骨院を新しく開業する際は、物件を探して、さらにその物件の内外装を適切にデザインして、患者さんを集めることが重要です。整骨院を開くうえで、最も大切なのは施術者の「腕」であることに違いはありませんが、その腕の良し悪しを伝えるのはかんたんなことではありません。実際に施術を行い、患者さんが気に入ってくれれば次につながりますし、その患者さんの口コミによりほかの患者さんを呼び込めるかもしれません。しかし、患者さんを呼び込まないことには、リピーターも口コミも生まれません。まずは患者さんを集めないとビジネスは始まらないのです。
患者さんを集める方法はさまざまです。最もイメージしやすいのは「広告」ですが、整骨院・接骨院は広告に関する制限があるため、ほかのビジネスのように自由に宣伝することはできません。ただビジネスを始めるだけで患者さんが来てくれれば最も楽なのですが、残念ながら整骨院・接骨院は乱立状態。人口の高齢化が進んでいるので需要はこれからも増えるものの、この業界の競争はとても厳しいのです。
つまり、患者さんを呼び込むためには結局、通りがかりの人に入ってもらえるぐらい外観のデザインに力を入れ、さらに整骨院の魅力を患者さんに感じてもらいリピーターになってもらえるよう、内装のデザインに力を入れる必要があります。
整骨院・接骨院のエクステリア(外装)デザインのポイント
店舗のエクステリアをデザインする際は、いかに人目を引き、店内に誘導することが目的になります。整骨院・接骨院でもそれは同じことです。お話ししたとおり、法により広告が限定されている整骨院・接骨院では、エクステリアデザインで患者さんを呼び込むことができるかどうかは、ビジネスの成功を左右する要素です。ここからは整骨院・接骨院のエクステリアデザインで重要なことをご紹介します。患者さんの立場でデザインを考えるのが基本です。
看板はシンプルに
整骨院・接骨院の外観で、名刺代わりになってくれるのが看板です。そのため看板は、患者さんになってくれる可能性がある人々に、どんな場所なのか、どんなコンセプトで施術を行っているのかを伝える役割を持ちます。
整骨院・接骨院という場所ですから、派手に目立つ看板にするわけにはいきませんが、それでも前を通る人々にアピールする程度には目立たせなければなりません。患者さん目線で、どんな看板にしたら「入ってみたい」と思わせられるのか考えてみてください。
看板には、整骨院の名前、電話番号、営業時間など、重要な情報だけを書きます。先ほどもふれたとおり、整骨院・接骨院は広告表現に注意しなければなりません。施術の料金も、施術者からのメッセージも、看板やエクステリアに表示することは不可能です。違反した場合、30万円以下の罰金を科せられる場合もあるので、看板の表現には注意しましょう。
雰囲気は明るくさわやかに
整骨院・接骨院は、体に不調を抱えている患者さんが訪れるという意味では、病院と同様の施設です。そのため、基本的には内外装ともに、明るくさわやかな雰囲気にデザインするといいでしょう。
エクステリアの配色は、明るさやさわやかさを患者さんに印象づけやすいホワイトやナチュラル系のカラーで行うのが一般的です。ブラウンやグリーンなどのアースカラーも好まれます。
ターゲットとなる患者さんにもよりますが、基本的にはこのような考え方で配色を考えると、患者さんは落ち着きや親近感を覚えてくれるでしょう。
中を見とおせるようにデザインする
整骨院・接骨院のエクステリアデザインで非常に重要な要素になるのが、この「外から中を見とおせるデザイン」です。看板とエクステリアの雰囲気で可能性のある患者さんが好印象を持っても、院内が見えないと不安になってしまいます。これは、ほかの業種の店舗でもいえることですが、外から中を見とおせるようなデザインは、院内の雰囲気を外部に伝えるという意味で必須です。ガラスや窓を取り付けて、適度に院内が見えるようにデザインを考えてみましょう。ただし、見えすぎは患者さんのプライバシーを守るという意味で不適切です。見えすぎる場合はくもりガラスを利用するなど工夫してみるといいでしょう。
整骨院・接骨院のインテリア(内装)デザインのポイント
エクステリアのデザインで患者さんを呼び込むことに成功したら、次は実際の施術やスタッフの笑顔、そしてインテリアで、呼び込んだ患者さんにまた訪れてもらいましょう。整骨院・接骨院のインテリアのメインとなるのは、受付、待合室、施術室のデザインです。
クロスや照明の色は入念に検討
壁に張るクロスや照明の色は、院内の雰囲気を決めるので、どんなものにするか入念に検討しましょう。基本はエクステリアと同じく、清潔感や明るさの演出ですが、コンセプトと患者さんの属性も考慮して、最もふさわしいものを選ぶことが重要です。ナチュラル系、ブラウン、グリーン、ブルーなどのアースカラーのコンビネーションなら、ほぼ失敗はありません。
照明は、どちらかというと雰囲気の演出に力を発揮してくれます。蛍光灯だとクリーンな雰囲気が強く出せますが、電球だと温もりやレトロな雰囲気を演出しやすくなります。
クロスや床の色と照明を使い分けることで、異なる雰囲気を演出できるので、コンセプトを表現できて、なおかつ顧客が心地よく感じられる雰囲気を、いろいろ探っているといいでしょう。
ワンポイントを置く
壁のクロスや照明で待合室や施術室の雰囲気をうまく出せても、実際はそれだけだと、何か整いすぎて、デザインを考えたご自身でも違和感を覚えてしまうかもしれません。しかし、この空間に家具を置いてみると引き締まって見えるはずです。そう、室内に何もないと退屈な印象になってしまうのです。家具や雑貨、植物などを置くと、いいワンポイントになり、空間を引き締めてくれます。
整骨院・接骨院のデザインを助けるコンセプトやターゲット選定
ご紹介してきたように、整骨院・接骨院のエクステリアとインテリアのデザインは、考え方としてはシンプルですが、実行しようとすると意外に奥が深くかんたんではないことがわかると思います。
また、乱立するライバルとの差別化は新規オープンする整骨院の課題ですから、内外装のデザインでも違いが見せつけられるものを追求すべきです。もちろん、突飛なデザインをするわけではありませんが、差別化は将来のビジネスの成長に関わることなので、知恵を絞って考えてみましょう。
そのアイデアとなるのが、整骨院のコンセプトとターゲットとなる患者さんです。整骨院には特定の層の患者さんのみが訪れるわけではありません。しかし、典型的なターゲット像はあると思います。デザインに行き詰まったら、整骨院のコンセプトとターゲット像を改めて考えてみて、ターゲットとなる患者さんの身になって、理想の整骨院の姿をイメージしてみましょう。こうすれば、自ずと答えは出てくるものです。